【編曲のお仕事】抽象的な叙情詩をアレンジ

引き続き、お得意様の山本博子さんからの編曲依頼を紹介したいと思います。今回は叙情詩を編曲するという一風変わったチャレンジングなお仕事でした。

送られてきたデモの原曲は、博子さんが書いた抽象的な詩に対してシンプルな単旋律のメロディが付けられているものでした。どういう詩なのかを伺ったところ、ある人に伝えたい、自分の心の中にある想いや感情を出しきるつもりで、素直に表現した詩ということでした。そういう気持ちをタイトルの(雨が)「降り出す前に」であったり、曲中の「降り出す前にあなたに話しておきたいことがある」という言葉ひとつで表現しているということでした。

なかなか深いですね。制作に取り掛かる前に「どんな風にしましょうか」と尋ねたところ、メロディを何度か繰り返して終わってくれればいいので、あとは自由にいろいろ遊んでくださいということでした。なので自由にやらせてもらいました(笑)。また、予算の都合で歌はボーカロイドの「初音ミク」になっています。

編曲の方向性

今回は以下のポイントを念頭に編曲しました。

・雨の雰囲気

・暗い曲ではないが、決して明るい曲ではないこと

・悲しい気持ち、やるせない気持ちなどの複雑な感情が混ざっている感じ

・同じメロディ、言葉が繰り返されているので工夫しないとつまらない曲になってしまう。

上記をふまえて、まずはイントロの作曲です。全体的な雰囲気を決める要素として、指引きのアコースティックギターを入れることにしました。スティール弦を指でポロポロ弾くことで、雨と複雑な感情を表現しました。うっすらパッド系のシンセも入れています。コード進行やボイシングもあれこれ工夫しました。

あと同じメロディが3回繰り返されるので、それに対しては毎回違う和音、コード進行にしました。シンプルな3和音から始まって徐々にテンションを含んだ複雑なコードになり、最後にまたシンプルなコードにもどるようにしました。最後は明るい3和音のドミソで終わって、希望感を持たせています。

「降り出す前に」

作詞・作曲:山本博子
編曲・サウンドプロデュース:宇童吉克

 

本当に自由にやらせてもらいましたが、博子さんには無事満足いただけたようです(笑)。