【編曲の話】オケ制作・トラック制作について【1】

今回は編曲という仕事について書きたいと思います。正確に数えてはいませんが、今までに少なくとも100曲は編曲の仕事を行っていますので、それらを通じて得た気づき、ノウハウなどを紹介していきたいと思います。編曲といっても実際に仕事を行う上で配慮しなければならないことは膨大にあります。ですので、今後、テーマ別に少しずつご紹介していければと思っています。

それでは、編曲の話・第1回目はオケ制作、トラック制作の際に心掛けていることについて書きたいと思います。オケとはメロディ以外の伴奏部分いわゆるカラオケですね。トラックとはオケを構成する各楽器、音色の個々のパートのことをいいます。例えばギタートラック、ピアノトラック、シンセトラック、ドラムトラック、さらに細分化してシンバルトラック、スネアドラムトラックなどのように言います。

これはあくまで私個人の考えですが、編曲におけるオケ、各トラック(楽器の演奏)の役割はメロディ、ボーカルの良さを引き立たせたり、高めたり、特定のイメージ、演出を付け加えたりするものと思っています。他のもので例えると人が着る服のようなものと思っています。かっこいい人がおしゃれな服を着るとさらにかっこよくなりますよね。それと同じで良いメロディに対して、それにふさわしい編曲をつけると曲の魅力はさらに高まります。

ここで問題となるのは、どうすればふさわしい編曲になるのか、何が良いアレンジなのかということです。もちろん「こうするべきだ」と言い切ることはできませんが、少なくともこういう事、こんな要素に気を配るとより良い編曲に近づくのでは?ということは私の経験から言えると思いますので。全部ではありませんが大事と思うことから順に説明していきたいと思います。

メロディの邪魔をしない

まず第一は、先にも述べたとおり編曲はあくまでもメロディを引き立たせるものなので、当たり前ですが「メロディの邪魔をしないこと」です。歌謡曲やポップスにおける編曲は大抵の場合、鼻歌やシンセによるメロディと基本となるシンプルな伴奏のみ(ピアノやギターだけ)の状態で依頼されることが多いです。それに対しておしゃれなコード進行に変えたり、各楽器パートを足して肉付けを行っていきます。必要に応じてドラムのフィルインをいれたり、ストリングスの早い駆け上がりパッセージを入れたり、印象的なギターリフや、その他楽器で合いの手を入れたりします。ここで気を付けなければいけないのは、たとえそれがどんなに素晴らしい伴奏やフレーズだったとしてもメロディの存在を薄めたり、かき消してしまっては意味がありません。

私が初心者のころよく陥ってしまっていたのが、自分の作っているトラックに夢中になるあまり、それ単体で聞けばかっこいいのですが、そのフレーズのテイスト、音色、タイミングがすごくメロディの邪魔をしていて曲を台無しにしてしまうということがありました。なのでオケ制作、トラック制作を行う際は、常にメロディの良さが引き立って聞こえているか、魅力が増しているかどうかはすごく意識して作業をしています。それを意識することで、「あ、このパートは要らないな」と引き算をしたり、「このフレーズは入るタイミングが悪いからずらそう」という判断ができるようになるのです。

今回はここまでです。次回は「同じことを繰り返す時は注意する」というテーマについて書きたいと思います。