Guthrie Govan のギターソロを分析してみる

今回は以前の記事で紹介したギタリスト、Guthrie Govan のギターソロを分析してみたいと思います。コードに対してどのような音、スケールが用いられているのか、チョーキングやハンマリング、スライドなどの短い装飾音に一定の傾向はあるのかという観点で分析しました。

今回分析するのはYOUTUBEにUPされている以下の動画です。分析するにあたってTranscribe(トランスクライブ)しました。トランスクライブとは耳コピで譜面に起こす作業のことです。大変ですが非常に有意義ですので上達したい方におすすめです。自分が興味ある演奏をトランスクライブするだけでいろんな発見があります。

参考動画

初めて聞いた時、とても素晴らしいギターソロだと思いました。この人の演奏の特徴として、ブルージーなフレーズやブルーノートが随所にちりばめられているんですよね。チョーキング、ビブラート、スライド、ハンマリングなど、非常に繊細で人間味のあるアーティキュレーションをしながらも、一連のフレーズはその時のコードに対して的確なコードトーンもしくはコードスケールを的確なタイミングで用いています。これらのポイントをふまえて実際に分析してみましょう。

それぞれのコードに対して用いられている音、音階を分析してみる

以下はトランスクライブした譜面です。チョーキング、スライドなどの細かいアーティキュレーションについては記載していません。音程とリズムとコードのみシンプルに記載しています。どんな音、音階がどのコード時に使用されているのかを理解するのが目的ですので、あくまでも目安としてご参照ください。細かいアーティキュレーションは良い演奏を行う上で非常に大事ですが、譜面で習得するものではないと考えています。耳コピや動画を見て習得するのが一番良い方法だと思います。幸いYOUTUBEはスロー再生もできます。

▼PDF
Guthrie_Solo_01

まず最初に分かりやすいのは、全体的にDマイナーペンタトニックスケール(D,F,G,A,C)が用いられていることですね。そこにブルーノートである(Ab)も随所で織り交ぜられています。ただ、どこでも使用しているかというとそうではありません。一番はっきりしているのはコードがDm7の時ですね。それ以外ではFの時にかすかに使用していますが、Fの時はコードトーンの場合が多いですね。コードトーンとはそのコードを構成している音です。Fの場合は(F,A,C)

次はコードがC7の時ですが、3つのパターンがあるようです。1つ目はBbメジャースケールにクロマチックアプローチを混ぜたもの。クロマチックとは半音階的という意味です。通常のスケールで「G,A,Bb,C」といくところを、「G,G#,A,Bb,B,C」と半音階的に演奏したりすることです。2つ目は先にも出てきたDマイナーペンタ。そして3つ目はAマイナーペンタです。(最初のEbの前のC7)

次はコードがBbの時を見てみましょう、ほとんどの場合コードトーンかDマイナーペンタですね。ただ、34小節目のBbではGマイナーペンタとそのブルーノートである(C#)が出てきます。これは直前に出てくるEbというコードがGマイナーのKEY(調)にあるコード(Gマイナーのダイアトニックコード)なので、Gマイナーの調を感じているからでしょう。ところで、ブルーノートとはコードトーンではない、あいまいな音程でいながら心にグッとくる響きを醸し出してくれる魔法のような存在です。諸説ありますが、ブルース音楽から生まれたと言われています。

最後にコードがGm、D7、Eb、A7、Cの時を見てみましょう。これらの時はほぼ全てコードトーンで演奏されているのが分かると思います。

ブルージーなサウンドを生み出す要素

次はどこにブルージーなサウンドがあるのかを考察してみたいと思います。ここでいうブルージーなサウンドとはある音程から音程を滑らかに移動するあいまいな音のことです。言葉だと伝わりづらいので以下サンプル音源をご参照ください。ギターだと「チョーキング」や「スライド」で表現します。この辺の用語の意味が分からない人はググってくださいね。

▼チョーキング、スライドによるブルージーなサウンド

 

さて、本題です。いかにブルージーなサウンドを織り交ぜるかはその演奏者によってさまざまなのですが、今回はGuthrie Govanがこのソロでどのようにブルースサウンドを演出しているかを見ると、一定の傾向があることがわかります。

以下、箇条書きにしてみました。

・全体的にG~A、G~Ab、Ab~Aの間でのチョーキングを多用
・D~Ebの間のチョーキングやスライドも全体的に出てくる
・A~Bbの間のチョーキングは、主にF、Gm、Eb、Bbでよく出ててくる
・Bb~Cのチョーキング、これは主にCで出てくる。
・C~Dの間のチョーキング、主にEb、Bbで見られます。

他にもあると思いますが大体こんなところでしょうか。

上記を意識しながらテンポを遅くしてコピーしたら、ちょっと前より上手くなった気がしました(笑)。テンポを遅くしてコピーするのも有意義な方法なので、みなさんも試してみてください。