クラシックとジャズの違い【6】ボイスリーディングの違い

「クラシックとジャズの違い」第6回目は「ボイスリーディングの違い」について考察したいと思います。「ボイスリーディング」とは、ある和音(コード)から次の和音へ移行する際にそれぞれの音(声部)をどのようにつなげるか(導くか)という考え方のことをいいます。クラシック理論では「和声学」ともいいます。和声学では和音が変わる際に同じ音程を保つことを「保持」といい、音程が上がることを「上行」、下がることを「下行」といいます。また2つの声部が同じ方向に進むことを「並行」といい、互いに逆の方向に進むことを「反行」といいます。

クラシックのボイスリーディング

クラシックのボイスリーディングでは、基本的にはメロディとベース以外のパートはなるべく大きく動かさず同じ音を保持するのが良いとされています。また、メロディとベースは反行すると美しいとされています。例えばメロディがドレミ・・・と上がっていくのであれば、ベースはドシラ・・・と下がっていくと美しいという感じです。

ジャズのボイスリーディング

一方、ジャズでは同じ音を続けてつなげることはあまりよくないという考え方があります。その理由は、ジャズの代表的な演奏形式でビッグバンドがあります。これらはトランペットやサックスなどの管楽器メインで演奏されます。この管楽器群でテンションを含んだ5和音、6和音のコードをリズミカルに合奏する、いわゆる「ソリ」というものがあります。この時、管楽器の特性として同じ音が続くと発音のイントネーションやタイミングが鈍くなるというデメリットがあるため、同じパートで同じ音を保持しないことが多いのです。またジャズの響き豊かで複雑なコードの特性から、それぞれのパートが並行移動しても、それはそれでコードが明確に変わっている感じを出せるので良いという考え方もあります。

具体的な例

以下に具体的な例としてベートーベンの悲愴・第2楽章のメロディで、それぞれクラシックのボイスリーディングの方法と、ジャズのボースリーディングの方法を示しました。譜面で見るとクラシックでは内声パート(メロディとベース以外のパート)が大きく動くことなく同じ音が保持されているのがわかると思います。一方、ジャズの例では、全てのパートが並行することもよくあり、同じパートで同じ音が連続することは、ほぼないことがわかると思います。このボイスリーディングの違いが、クラシックとジャズそれぞれ独特な響きの違いとなっているのです。

クラシックのボイスリーディング

ジャズのボイスリーディング

ビッグバンドのソリ風のボイスリーディング

以上、6回にわたってクラシックとジャズの違いを様々な切り口で考察してみました。とはいえ、ここで書いていることはほんの表面的な部分にすぎません。ほかにももっと深堀できることはあると思いますがいったんここまでにしたいと思います。ほかにご要望などありましたら個別にご連絡いただければと思います。

参考動画

クラシックのボイスリードが美しいと思う曲

ジャズのボイスリードがかっこいいと思う曲

 

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