クラシックとジャズの違い【1】リズム・グルーブ編

先日とある方からメールでこんな質問が寄せられました。「よくクラシック理論とかジャズ理論とか言いますが、クラシックとジャズの違いって何ですか?」素朴な質問ですがきちんと答えようとするとなかなか難しい質問ですね。それでは今回はクラシック音楽とジャズの違いについて考察していきたいと思います。

「違い」の切り口

まずクラシックとジャズの違いと言っても色んな切り口での違いがあります。例えば以下のような切り口が挙げられます。

①誕生した歴史的背景の違い

②あらかじめ緻密に作曲されたものを忠実に再現する美と、その場、その瞬間のインスピレーションを尊重する即興性の美という音楽的価値観の違い

③リズムやグルーブ感の違い

④ハーモニー、和音、コードに関する概念の違い

⑤メロディ、フレーズにおける強弱、アクセントの付け方の違い

⑥音楽的イディオム、響き(ボイスリード)の違い

質問には「理論」という言葉があるので、①、②については専門書やグーグル先生に頼っていただくとして、このブログでは③、④、⑤、⑥について私なりの見解を述べたいと思います。

リズムやグルーブ感の違い

まずリズム、グルーブ感についてですが、ジャズに有って、クラシックには無いものがあります。それは「スイング」という概念です。概念は少し固いイメージなので、フィーリングといった方がいいかもしれませんね。グルーブ感、フィーリングとは、いわゆる「ノリ」というものです。「ノリ」とはあるリズムから発せられる見えない波のようなもので、自然と体が揺れたり、頭を振ったり、足の裏で床をノックしたりするものです。よく「この曲ノリがいいね!」とかいいますが、私に言わせると自然に体が揺れない音楽はノリがいいとは言いませんし、グルーブしてるとは言いません。(笑)

前置きが長くなりましたが、「スイング」とはジャズ特有の「ノリ」、「フィーリング」、「グルーブ」です。通常クラシックの楽譜で連続した8分音符を演奏する場合、基本的には同じ、同等の音の長さで演奏します。すべての8分音符が1:1の音の長さの比率になっていますよね。しかし、「スイング」の場合は例えば4つ連続した8分音符を演奏する場合、一つ目と2つ目の八分音符の音の長さの比率が、2:1気味だったり、3:2気味だったり、5:4気味だったりするわけです。3つ目と4つ目の比率も同様です。言葉にすると、1:1がタタタタという感じで、スイングはタータ、タータ(欧米ではウータ、ウータという)という感じです。ここでポイントは「スイング」は全てにおいて「~気味」という表現がふさわしく、厳密に正確な数字で割り切れる音の長さで演奏しているわけではないのです。それこそミュージシャン同士の「フィーリング」を重視して演奏しているのです。

「スイング8thフィール」と「イーブン8thフィール」

欧米ではジャズミュージシャンが曲のリズムスタイルを指定する時には、例えば「スイング8thフィール」でお願いします、とか、この曲は「イーブン8thフィール」ですというような言い方をします。(イーブン8thはストレート8thといわれることもあります)「8th」とは8分音符のことなので、8分音符がスイングしているフィールという意味だったり、8分音符がイーブン(同等の長さ)のフィールですよという意味だったりします。ここで強調しておきたいのは、たとえイーブン8thフィールの曲でもジャズでは実際には完全に同等の長さではないですし、連続した8分音符のアクセントの付け方も特有のものがあり、「スイング」しているのです。これについては実際にイーブン8thフィールのジャズの曲を聴いてみるのがわかりやすいかと思います。さらに注意点として、スイング8thフィールの曲でも、もっと細かい16分音符などを演奏する時はイーブンフィールになります。

今回はここまでです。次回は④のハーモニー、和音、コードに関する概念の違いについて書きたいと思います。

参考動画・参考音源

▼スイング8thフィールの演奏(16分音符はイーブン)

▼イーブン8thフィールの演奏

▼イーブン8thフィール

 

▼スイング8thフィール 5:4気味

 

▼スイング8thフィール 4:3気味

 

▼スイング8thフィール 2:1気味

 

▼イーブン16thのあとに スイング8th 4:3気味

 

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